設立にあたって

日本では、2006 年に「がん対策基本法」が初めて成立し、2016 年の改正を経て、現在に至っています。また、がん対策基本法に基づく「がん対策推進基本計画」のもと、国民全体の様々ながん対策に関わる施策が厚生労働省がん対策推進協議会で協議されています。

東京都は言うまでもなく日本の首都であり、多くの医療機関が存在します。一方で、東京都においても、がん医療の地域格差や施設間格差が存在しているのが現状です。患者が望む医療や関連情報に的確にアクセスするために、そして国で施行、検討されているがん対策が、がん患者や家族に確実に届くためには、東京都には多くの課題の解決が求められています。

これまで、多くの方々が、がんの種類や居住地域、罹患の年代、患者や家族の様々な悩みや苦痛に応じて、それぞれの課題の解決に向けた取り組みを行ってきました。しかしながら、がん対策全体における共通した課題も多く存在しています。新型コロナウイルスの先行きがますます不透明な現況下でも、がん対策の課題解決に着実に取り組んでいくことが必要です。

私たちは、日本の首都である東京都が、国のがん対策のモデルケースとなり、名実ともに、がんになっても安心して暮らせる首都となることを願っております。そのためには、東京都に居住、または東京都を活動の拠点とし、今までがん対策に関わってきた者同士が連携した取り組みを行うべく、このたび、【がんネットワーク東京】として力を合わせていくことを目指して発起人が集いました。趣意に賛同される方々とも、さらにネットワークを広げ、東京都のがん対策をより良いものに、そして、国の施策が確実に東京都民に届くことを目指していきたいと考えております。

東京都は、他の道府県とは異なる医療・医療圏、社会、生活上の特徴を有しています。私たちはこれらの特徴を踏まえた『がんになっても安心して暮らせる東京都』を目指し、予防・啓発、検診から治療、社会生活（情報・教育・就学・就労・育児・介護など）に関わる現状課題や取り組みなどについて、立場が異なる互いの目線を交わすことで学びを深めながら、がん患者や家族の視点に基づいた多くの課題の解決に取り組んでまいります。

私たちの趣旨にご賛同いただける皆さまのご参加、ご理解とご支援を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

2021 年9 月